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建設作業の騒音・振動

建設騒音

道路等の土木作業や建物等の建設作業には,強大な騒音を発生する機械が使用される場合がある。 表1は,主要な建設工事用機械の30m地点での騒音レベルである。
 

さらに低騒音形の機械が新たに開発されているものもある。くい打機等の特定の機械を使用する建設作業は、特定建設作業として騒音規制法により敷地境界線の基準値が85dBと定められている。なお騒音レぺルが不規則かつ大幅に変動するときは、90%レンジの上端値 (L5)で評価される。また,周期的又は間欠的に変動してその最大値が一定しない場合には、最大値ごとのL5により評価される。
 

このため、作業工程ごとに使用する機械の騒音レベルの予測、低騒音形機械の有無、代替工法、,時間の制限、時間帯の工夫、3m程度の密閉性の高い塀で境界線を囲う等、種々の対策が必要になる場合が多い。

建設騒音の特徴は、ある一定期間だけこ起こる一過性の騒音であることだが、一般的に敷地境界に隣接して民家のある場合もあり、苦情が発生しやすい。

また,鉄道や幹線道路等、昼間の通行を妨げないために、夜間作業が避けられないような事例もある。いずれにしても、近隣の理解を得ることが最も重要であり、余裕を持った工程計画の下に、定められた時間帯を厳守することはもちろん、低騒音形磯城や工法の積極的導入が望ましい。
 

表1.建設工事用機械の騒音レベル(30m地点)

(単位:dB)
整地工事用 ブルドーザ
トラックショベル
クラムシェル
バックホウ
パワーショベル
ダンプトラック
65〜69
72〜78
65〜75
68〜73
64〜65
77〜80
基礎工事用 ディーゼルハンマ
ドロップハンマ
アースオーガ
アースドリル
振動式くい打機
ベノトボーリングマシン
スクリュードリル
90〜103
88〜98
75〜83
72〜82
74〜80
78〜83
51
鉄骨工事用 リベットガン
インパクトレンチ
鉄骨溶接
鉄骨打撃(ハンマ)
グラインダ
80〜86
78
44〜52
82〜86
74〜80
コンクリート工事用 コンクリートミキサー車
コンクリートポンプ車
55〜77
67〜74
動力機械 発電機
可搬式圧縮機(スクリュー式)
可搬式圧縮機(ロータリ式)
78〜81
74〜80
73〜86
(騒音・振動対策ハンドブック、技報堂より)

建設・作業振動

建設作業は昔から大型の機械を用い、騒音や振動を発生させながら工事を進めるというのが普通の作業形態であった。しかし当時は繁華街を中心としたビル工事などが主であったが、近年になると住宅街にも高層ビルの建設や高速道路の工事など大型工事が入り込んできて、苦情が発生することも多くなってきた。
 

現在の苦情発生件数をみると、工場振動による苦情件数よりずっと多い。
また建設作業で使用する機械類は、一般に衝撃力を直接利用するものが多いので、発生する振動も大きく、工場の機械などと同様こ苦情の対象になりやすいものである。
建設作業で使用される主な振動発生源としてはディーゼル式くい打機、振動式くい打機及びくい抜機、建物廟体のための鋼球破壊機、舘装版破砕機、ブレーカなどがある。

主な機械の振動レベルの測定例を表2に示した。工場で使用される機械よりも一般に振動レベルが大きいものが多い。また,約10年後の測定結果をみても著しい低減はみられていない。
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東京都の調査によれば、調べた工事現場のうち、建設現場ではその約65%、土木現場ではその72%において、工事振動に対して苦情が発生しているという。特に夜間工事が苦情の対象になりやすいようである。夜間の休息を妨げられることは人間にとって耐え難いことであり、休養、睡眠に対する配慮は優先されるべきものである。


苦情の発生率と工事現場からの距離の関係を図 1.24に示したが、現場から10m以内が苦情発生率 43%と最も多く、20mまでで約70%、50mまでをとると約90%が含まれている。
一般に建設工事は作業時間が短いので、住民の生活環境に及ぼす影響は長期にわたることはないといわれているが、最近は大型工事が増加し、長期間付近の住民の日常生活を妨害する例も多い。


工事の計画も技術的な面の検討ばかりでなく、公害防止の立場からの計画作成も必要である。
振動の小さい建設機械や工法の開発とその活用に一層の努力を期待したいものである。

表2.主要な建設機械とその振動の実態

作業名 苦情件数 振動レベル(dB) 備考
(サンプル数)
機械からの距離
5m 10m 20m 30m
ディーゼルパイルハンマ 65 84 78
(73)
72
(67)
68
(63)
32
114
振動パイルドライバ 22 80 73
(74)
66
(68)
63
(65)
13
42
油圧ハンマ     (74) (70) (61) 5
ドロップハンマ 10 84 76
(69)
67
(64)
62
(62)
9
鋼球破壊機 8 79 69 60 - 6
舗装版破砕機 - 77 72 68 - 7
ブレーカ(除く手持式) 10 71 61 - - 4
(注)
  1. 苦情件数は都道府県段階で受理した件数である (昭和 48年)。
  2. 振動レぺルは、公的機関で昭和48年当時測定したものを集計し平均したものを例示した。なお、測定条件等は必ずしも統一されていない。
  3. (   )内の数値(振動レベル)は,昭和58〜60年度に実測されたものを集計し平均してある。

表3.建設作業騒音の勧告基準

建設作業の種類 騒音規制法 東京都公害防止条例
特定建設作業 基準値 指定建設作業 基準値
くい打設作業 くい打機(もんけんを除く)、くい抜き機又はくい打くい抜き機(庄入式くい打くい抜き機を除く)を使用する作業(くい打機をアースオーガーと併用する作業を除く。) 85 庄入式くい打機、油圧式くい抜機を使用する作業又は穿孔機を使用するくい打設作業 80
びょう打等作業 びょう打機を使用する作業 インパクトレンチを使用する作業
破砕作業 さく岩機を使用する作業 コンクリートカッターを使用する作業
掘削作業 ブルドーザ、パワーショベル、バックホーその他これらに類する掘削機械を使用する作業  
空気圧縮機を使用する作業 空気圧縮機(電動機以外の原動機を用いるものであって、その原動機の定格出力が15KW以上のものに限る)を使用する作業(さく岩機の動力として使用する作業を除く) 振動ローラー、タイヤローラー、ロードローラー、振動プレート、振動ランマその他これらに類する締固め機械を使用する作業
コンクリートプラント等及びコンクリート搬入作業 コンクリートプラント(混練機の混練容量が0.45m3以上のものに限る)またはアスファルトプラント(混練機の混練重量が200kg以上のものに限る)を設けて行う作業モルタルを製造するためにコンクリートプラントを設けて行う作業を除く。)  
はつり作業及びコンクリート仕上作業   原動機を使用するはつり作業及びコンクリート仕上作業(さく岩機を使用する作業を除く)
建築物の解体・破壊作業   動力、火薬又は鋼球を使用して建築物その他の工作物を解体し、又は破壊する作業
(注)
  1. 作業時間:午前7時~午後7時(1号区域)、午前6時~午後10時 (2号区域)
  2. 1日における延べ作業時間:10時間以内 (1号区域)、14時間以内 (2号区域)
  3. 同一場所における達雇.6日以内
  4. 日曜・休日における作業 :禁止
  5. 基準値は、敷地境界線における騒音レベルを示す。


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